【雨水】肝にとって〝心地のよい環境〟をととのえる

【雨水】肝にとって〝心地のよい環境〟をととのえる

【雨水(うすい)】2/18〜3/4
寒さが少しずつやわらぎ、春の訪れを感じ始める頃。春一番が吹き、雪解けが進むなど、自然界も次第に目覚めていきます。

雨水は、立春に続き、エネルギーである「陽気」ががさらに高まり、私たちの心や体もそれに呼応して、新しいことを始めたくなったり、外へ出かけたくなったりと、自然と活発な気持ちが芽生える時期です。

しかしその一方で、その変化に心も体が追いつかず、ソワソワと落ち着かなかったりと、焦燥感を感じる人も少なくありません。

そんな雨水の養生ポイントは、陽気の上昇とともに活発になる「肝」をいたわること
「肝」に栄養をたっぷりと養い、「肝」にとって心地のよい環境をととのえてあげることが重要です。

雨水に起こりやすい不調

春は「肝」が活発になる季節。エネルギーを巡らせる働きをもつ肝は、冬の間にじっと静かに蓄えられていたエネルギーを巡らせようと活発に働きます。

肝が元気な人は、ウキウキとした気持ちが湧き、前向きにも活動的にもなれるのですが、その反面、肝はオーバーワークになりやすく、負担を受けやすいとも言えます。
その結果、肝の不調が出やすくなるのです。

⚫︎自律神経の乱れ

全身にエネルギーを巡らせる働きをもつ肝は、自律神経とも深く関わり、情緒の安定を支えています。
そのため、肝に負担のかかりやすい春は、自律神経が乱れやすく、頭痛やめまい、動悸や寝汗、血圧の変動、食欲不振、下痢や便秘、睡眠の乱れなど、自分ではコントロールができないトラブルに見舞われる人が多くなります。
また、メンタル面では情緒が不安定になりやすく、イライラや憂うつ感、不安や焦燥感などを感じやすくなります。

⚫︎筋(すじ)の不調

肝は筋(すじ)をコントロールしているので、この時期は、足がつる、関節がこわばる、筋肉の張りを感じるといった不調が現れやすくなります。 とくに、冷えによる血流の悪化は、筋のこわばりを助長させるため、まだ寒さの残る今の時期は、引き続き冷えにも注意しましょう。



雨水の暮らし方

草木が芽を出し始める春に活発となる肝は、「木」の性質をもつとも言われ、のびのびとできる緩やかな環境が大好きな臓腑。
反対に、ストレスや緊張といった抑圧的な環境は、肝に負担をかけます。 肝が不調になりやすい春は、普段よりも、こころ穏やかに過ごすように心がけ、肝にとって〝心地のよい環境をととのえてあげましょう。

できれば、朝は少し早めに起き、ゆったりとした気持ちで一日を始めるのが理想的。
太陽の光をしっかり浴びながら深呼吸をし、春の「陽気」を胸いっぱいに吸い込めば、肝にとってそれ以上にない心地の良い時間に。
肝が司る「筋」を伸ばすストレッチで、軽く体を動かすのもおすすめです。年度末で忙しくなる毎日だからこそ、ホッとできる時間をあえて意識をして作っていくことが大切です。

雨水に食べるといいもの

⚫︎ほうれん草

肝は、エネルギーを全身に巡らせる他に、もう一つの仕事があります。
血液をストックし、全身に送る血液の量をコントロールするという役割です。体内の血液が不足した際に備えて、血液をストックし、各パーツが血の不足を起こさないように血流量を調整しています。
それと同時に、血液をストックすることで肝そのものも養われ、元気に働くことができるのです。

ほうれん草には、肝に血を補いながら、肝の働きを助けてくれる効果があります。一年中スーパーで見かけるほうれん草ですが、実は、甘みが増し、栄養価が最も高いのは今の時期



この時期のほうれん草の根元が赤いのは、寒さに耐えるために根に栄養をたっぷりと蓄えている証です。この赤い根元、捨ててしまう人も多いですが、実はアクが少なく食べやすい部分。細かく刻んで味噌汁や炒め物に加えてみてくださいね。

⚫︎レバー

漢方には 「以蔵補臓(いぞうほぞう)」 という考え方があります。
これは、内臓の働きが弱ったときに、同じ部位の内臓や形の似た食材を摂ることで補えるという考え方です。

たとえば、

  • 心を補いたいときはハツ(心臓)
  • 脳疲労にはクルミ(脳に似た形)
  • 春に負担のかかる肝を補うにはレバー(肝臓)

レバーは、肝の働きを助けるだけでなく、目にも良いとされています。そのため、春の花粉症による目の不調にも効果的です。
焼き鳥のレバーならスーパーやコンビニのお惣菜コーナーでも手に入りやすく、手軽に肝を養うことができるので、見つけたらぜひ食べてみてください。


女性の方が、春に弱い

女性の生理は、肝から子宮に血液が送られることで毎月起こります。
普段、肝にストックされている血液は、生理周期に合わせて子宮へと送られているのです。
そのため、毎月の生理を経験する女性は 肝に負担がかかりやすく、男性に比べて肝の働きが弱まりやすい傾向にあります。
とくに春は肝に負担がかかる季節であるため、女性は不調を感じやすいです。

生理中は、ほうれん草やレバーを取り入れて肝を養いながら、肝にとって〝心地のよい環境〟をととのえることを意識してみてくださいね。

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